個人事業主の方で、自分の場合、法人化した方が節税になるのだろうか?、法人化するタイミングっていつがいいんだろう?って考えている方って多いと思います。
僕自身、個人事業主から法人成りした経験があるので、僕の経験も踏まえながら法人化するベストなタイミングを考えてみたいと思います。
※補足
主に『節税』という面からのみ考えた法人化のタイミングについてです。
取引先が法人としか取引してくれない場合がある、融資が受けやすくなる等、法人化には節税以外のメリットもありますが、そこらへんはまた別の話です。
結論からいうと、年間の利益が500万円を超えてきたら法人化を検討する
売上(年商)じゃなくて、【利益】です。
売上から経費を引いた金額のことですね。
ちなみに、1ヶ月換算でいうと、月40万円ちょいの利益ってことですね。
月40~50万円の利益が出るようになってきたら、早めに税理士に相談に行った方がいいと思います。
なぜ法人化すると節税になるのか?
まず、個人事業の場合と法人の場合は、かかってくる税金が変わってきますので、まとめました。
個人事業主 | 法人 | |
所得税 | 所得に応じて、5%~40%の税率でかかる。 詳しい税率は、所得税の税率|国税庁 |
役員報酬として自分に給料を払った額に応じてかかる。 税率は左記と同じ |
個人事業税 | 所得の5% | かからない。 |
個人住民税 | 所得の10% | 役員報酬として自分に給料を払った額に応じてかかる。 税率は左記と同じ |
法人税 | かからない。 | 資本金1億円以下の中小企業の場合 所得に応じて、15%・25.5% |
法人事業税 | かからない。 | 所得に応じて、9%程度 |
法人住民税 | かからない。 | 自治体によって違うが、約7万円程度 |
こうしてみると、法人の方がかかってくる税金の種類が多くて、高く付きそうですが、実は全然違います。
個人の所得税は最大40%、法人税は最大でも25.5%、中小企業には優遇措置もアリ
まず、個人事業の場合の所得税は、累進課税といって所得が多くなるほど高くなる仕組みで、最高で40%までいきます。
さらに、住民税の10%、事業税の5%と合わせると、最大で55%もの税率になります。
これがお金を儲けても、半分は税金で持って行かれるとよく言われる所以です。
ですが、法人税は、定率25.5%です。
さらに、資本金1億円以下の中小企業には優遇措置があり、年800万円以下の部分には15%となります。
役員報酬として自分に給料を払うことで節税になる
サラリーマンの方は、確定申告によって、自分で収入から経費を引くことができません。
ですが、サラリーマンだって、仕事をするために、スーツを買ったり、本を読んだりと、実は色々と経費を使っていますよね。
ですので、サラリーマンの方の給料には、予め一定の割合で経費分の金額が算入されています。
これを給与所得控除といい、住民税や所得税を計算されるときには、給料から、給与所得控除の金額分が引かれてから計算されています。
たとえば、給与年収(源泉徴収票の金額)が、500万円の方の場合の給与所得控除額は、給与年収500万円×20%+54万円=154万円となります。
よって、500万円-154万円=の346万円に対して、住民税や所得税がかかってくるという計算になっています。
給与所得控除の詳しい計算式は国税庁のページに書いてあります。
法人化して、自分の会社から社長である自分に対して給料を払っても、この給与所得控除は適用されます。
ですので、先ほどの500万円の例でいくと、法人からは500万円の役員報酬を支払ったとして、500万円が経費になり、法人税が安くなります。
さらに、個人の収入は、給与所得控除によって、346万円の課税所得となります。
154万円の所得を浮かすことができるわけですね。
これが、個人事業主の場合だと、給与所得控除は使えず、500万円丸ごとにに所得税や住民税がかかってくることになるので、かなり大幅な節税ができます。
これが会社を作って、自分で自分に給料を払うことで節税できる仕組みです。
家族がいる方は、家族を役員にして、家族にも役員報酬を支払うことでさらに節税ができます。
家族への役員報酬にも、同じ仕組みで給与所得控除が適用されるからです。
なぜ500万円なのか?
だれでも法人化すれば節税できるわけではありません。
法人税は25.5%と定額なので、利益が少ないうちは個人の方が税率が安くなるからです。
(個人の場合、最小で5%)
さらに、法人になると、赤字でも支払わなければいけない住民税が発生します。
法人を設立した市区町村によっても異なりますが、だいたい年7万円程度は毎年、赤字でも支払う必要があります。
さらに、法人の決算処理はとても会計の素人ができるようなものではないので、税理士に頼むことになり、税理士の顧問料等が発生します。
以上の法人ならではの費用等を考えて、個人が得か?法人が得か?のラインがちょうど入れ替わるのが、だいたい500万円のラインだというわけです。
もっと詳しく個人・法人、どっちが得か調べたいという方は
だいたい500万円じゃなくて、それぞれの家族構成や経費、事業内容などに応じて、もっときっちりと数字でどっちが得か把握したい!という方もいると思います。
詳しく計算しようとすると、かなり複雑な計算をしないといけないので、自力ではちょっと難しいです。
ですので、そのような方に個人・法人のどっちが得かシミュレーションできる、エクセルシートを手に入れる方法をお教えします。
こちらの本を購入すると、個人・法人のどっちが得かシミュレーションできる、エクセルシートをダウンロードできます。
かなり詳しく数字でシミュレーションできるので、あなたの場合のどっちが得かがかなり明確に把握できると思いますよ♪
ちなみに、500万円のラインは、僕が実際にこのエクセルシートで色々な金額を入れて、個人の場合と法人の場合で比較してみた結果、導き出した金額です。
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